妄想代理人

妄想代理人(1) [DVD]
傑作サスペンス「パーフェクト・ブルー」以来、一貫した作風でクオリティーの高いアニメーションを
世に送り続けてきた今敏監督の最新作。私の知る限り、初のTV作品(WOWOWだけど)。

内容を一言で言うなら、「現代」という病に冒された人々と、「妄想」によって機能する社会の物語。

一躍ヒットデザイナーに押し上げられ、人々の期待と羨望に押しつぶされそうな少女。
小学校の人気者から、ふとしたきっかけでいじめられっ子に転落した少年。
生真面目な女教師と、奔放な売春婦の二重人格に苦しむ女などなど…

毎回違った主人公の視点で語られるのは、滑稽で愚かしく恐ろしい「現代」の戯画。
日常に追い詰められ、行き場を失った彼らの前に現れるのは、「少年バット」という名の
正体不明の通り魔です。

黄金のローラーブレードと野球帽に身を固めた少年の姿で、ねじくれた金属バットを振り上げ
次々と犯行を重ねる「少年バット」。

事件はやがて、人々の噂のネットワークに乗り、現実との境界を越えた都市伝説的な広がり
を見せていきます。

果たして「少年バット」は、暴力によって救いをもたらす「救世主」なのか?
それともただの「妄想」なのか?

もともとリアルなキャラクター描写や、現実と幻想の錯綜するシーンに定評のある今監督ですが、
この作品は特に、監督の持ち味が(良い方向に)発揮されたものになっています。

「少年バット」という、ビジュアルシンボルがある点や、飽きのこない連作短編形式である点。
そして、「現代」をリアルに描きながらも、コミカルな雰囲気を取り入れている点が、
娯楽作品としての完成度を高めているのではないでしょうか?

千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」と、「渋さ」に拍車をかける今作品に一抹の不安を
感じていた私としては、久しぶりに他人に薦められそうな一本です。

トップランナー 庵野秀明


「アニメと実写の監督、どちらが向いていますか?」
という質問に
「どちらも向いてないです」
と答えるへそ曲がりさが、とっても庵野監督でした(^^

でも、その後の説明で
「もともと責任感が薄いので、監督をやることで(責任感を与えられていることで)
かろうじて人間としてなんとかなっている」
という言葉を聞いたときは他人事とは思えなくなりました。

自分も最近、似たようなことを感じることが多いから(^^;

それにしても、あの有名な巨神兵シーンの作画を庵野さんが失敗と思っていたことは
知りませんでした。
「あそこは、(宮崎監督の指示通りの)5コマでなく7コマでやるべきだった!」
ってアンタ、未だに根に持ってるんだ… 何年前の話ですか!?(笑)

あと、アニメと実写の制作の違いに関する話は興味深かったです。
「アニメは絵コンテによって各シーンのイメージが決定してしまうが、 実写は環境や俳優
によってイメージがどんどん変化してしまうので、それを編集するまでわからない所が
おもしろい」
との事。

たぶん、押井守大友克洋などの2Dクリエーターが実写にころぶ理由も同じかもしれません。

もともとアニメ監督として、映像の完全主義を貫いてきた彼らにとって、撮影中のアドリブ
が優先する実写の制作が新鮮でスリリングなものに感じるのではないでしょうか?

個人的に言うと、実写制作とはいっても、そこは微妙に違うと思っているのですが、話が長くなる
ので(笑)これで終わりです。

仔犬のワルツ

父親の地位と財産を受け継ぐ権利を得るため、5人の兄弟がそれぞれ
「ピアノの天才」を連れてきて競わせる、という現実離れした設定がみごと
なまでに野島伸司の企画。
盲目で無垢な心を持ったピアノの天才少女(安倍なつみ)が、ふとしたこと
をきっかけに陰謀と欲望にまみれた相続競争の荒波に巻き込まれる、
という展開はベタベタですが燃えます!
既に人死も出ました(笑)
兄弟たちは、自分の目的のために手段を選ばない連中ばかりですが、
それぞれ自分の連れてきた「ピアノの天才」たちとの不思議な「交流」が
描かれており、単なる主と手駒の関係を超えた「絆」が期待させます。
(ちなみに「天才」の一人は加藤夏希です。カワイイ)
あまりに脇役どもの個性が強すぎて、盲目のヒロイン(安倍)が全然
目立たない感じ(笑)
ちなみに音声解説モードにすると、ラジオドラマみたいになって笑える。

戦国無双

私は「真三国無双」の頃から、「無双」シリーズを遊んできた人間です。
最新作の「戦国無双」は世界観が「三国史」から「信長」に変わり、ゲーム
モードが追加され、全体的に遊びやすく調整されていますが、
基本的なコンセプトはまったく変わっていません。

ゲーム自体の持つ面白さをそのままに、正しい進化を重ねてきたことが、
右肩上がりに売り上げを伸ばしてきた「無双シリーズ」の成功理由と言える
でしょう。

以下は、「無双シリーズ」が売れた理由に関して、自分なりに分析したもの
です。(時間がないので箇条書きです)

①「マップを埋め尽くすほどの大量の敵!!」「それをゴミのように薙ぎ倒し
ていく爽快アクション!!」という、ゲームの「売り」が画面から明確に
伝わってくる!

②ステージは敵と味方が入り乱れる「戦場」であり、戦況は刻一刻と変化して
いく。合戦のリアルタイムシミュレーションの中に入り込んでいる感じなの
で、「放っておくと敵に攻め込まれるかも…?」という独特の緊迫感がある。

③「桶狭間の戦い」のように、歴史ファン憧れの「戦場」をじかに体験できる
臨場感。 
さらに、プレイヤーの活躍しだいで「史実」をくつがえせる「if」の要素が
ある。これはコーエーが今まで培ってきた歴史シミュレーションの楽しさに通
じる部分であり、他のアクションゲームでは味わえない要素と言える。

④忘れてはならないのは、装備アイテムやパラメーターの成長要素を入れる
ことで、アクションゲームが苦手な人でも、時間をかければ必ずクリアできる
システムになっている点。
ステージクリア型のゲーム形式だが、アイテム集めやレベル上げの必要性
から、同じステージを何度もトライする意義があり、ボリューム面の対策
にもなっている。


つまり、①〜②の要素で斬新なアクションゲームとしての「売り」を
持ちながら③の要素で、コーエーの歴史シミュレーションファンにまで
アピール。
そして④のおかげで、アクションが苦手な彼らでも気軽に遊べるゲームに
なっている、という事。

武将の追加やエディット要素を加えてセカンドディスクを出したり、ご本家
の戦略シミュレーション要素をくっつけて焼きなおしたり、といった感じで
「つかい回し」のうまさも見習うべきで部分でしょう。

ヴァンパイアホスト

しょっぱなから、いきなりマイナーですが(笑)

小向美奈子演じる気の強い女子校生と、ホストクラブに勤める吸血鬼(松田悟志
の凸凹コンビが「狼男」や「透明人間」などの「怪奇事件」を解き明かしていくお話。

探偵役の2人組が「超常現象に偽装」した殺人事件の謎を解明する、という
ドラマの構造は「トリック」と同じですが、それを行う側が「本物の超常現象」である
吸血鬼なのが笑えます。

全編にちりばめられたユーモアや、かわいくてセクシーな小向(しかも毎回違うコスプレ
させてる♪)。悪事のばれた犯人を懲らしめる超人的な吸血鬼アクションなど、
随所にサービス精神のあふれる娯楽作品に仕上がっています。

ホストクラブのオーナー役の佐野四郎がまたいい感じ。
主演の若手2人を、脇から支えて物語をびしっと引き締めてくれています。

なんというか、映画化されてメジャーの世界へ旅立ってしまった「トリック」に寂しさを
感じていた私にとって、オカルト臭とマイナー臭ぷんぷんの「ヴァンパイアホスト」は、
今一番、親しみをもてる作品かもしれません。

はじめの言葉

今まで日記とかつけて、まともに続いたことのない私。

でも「日記帳」は好きなんですよー(^^

オシャレなデザインの小ぶりな装丁。
ハードカバーの表紙には金具がついていて、金色の小さな南京錠がぶら下がってたりして。

日記にカギをかけるって、秘密めいてて良くないですか?
まあ、隠すほどの秘密なんかないんだけどね(笑)

最近では、本屋で「マイブック」と銘打った、真っ白い中身の文庫本が売っています。

売り文句は
「真っ白いページを、あなたの文字で埋めていくことで『自分だけの物語』を作ってください」

非常にときめく言葉です。

「日記帳」好きの私は思わず財布の紐を緩めそうになりましたが
少年ジャンプの打ち切り連載のごとく数ページで途絶え、後には虚しいばかりの白紙の続く
『自分だけの物語』を想像して、止めることにしました。(しかも、字きたないし…)

えーと…何が言いたいかというと、私は日々の出来事をつらつらと綴るような『日記』を書くつもり
はないという事です。

この場を借りて行うのは、自分が触れたことのある、ドラマや映画や本やゲーム、
その他もろもろの『紹介』。

自分はまだ見てないけど、興味あるものいっぱいあるじゃないですか?
「あの映画、面白そうだけどどうだった?」
って友達に聞いたり、ネットで調べたり。

そんな際の、情報収集の手助けになるものを目指してみようと思います。
(一応、ネタバレ禁止のスタンスで)

まあ正直のトコ。知り合い以外が読むとは思えないけどね(^^;

そういう文章を書くことで、自分の中のイメージを整理する訓練になれば良いかと考えております。

でわ。