灰羽連盟

灰羽連盟 COG.1 [DVD]

気がついたとき、彼女は大空の中を墜落していた。
手の中には一羽のカラス。
眼下に広がる巨大で古びた街の全景が、視界にぐんぐんと迫ってきて…
 
「グリの街」の外れにある「オールドホーム」には「灰羽」と呼ばれる
羽の生えた天使もどきの少年少女が住み着いている。
主人公の少女「ラッカ」は「繭」から生まれたばかりの新米の「灰羽」。
彼女の名前は、「繭」の中で見ていた夢にちなんで付けられた(空を落下=ラッカ)。
記憶を失って生まれてくる彼女らが、「繭」の夢を名前にするのは、それが
「しきたり」だから。
 
「グリの街」は「しきたり」が多い。
 
灰羽」はお金を使ってはならない。
灰羽」は古着以外を着てはならない。
灰羽」は仕事を見つけて、街に奉仕しなければならない。
そして、すべての住人は、町の外に出てはならない。
 
これらはすべて、「しきたり」によって定められたこと。
少女「ラッカ」は、オールドホームに住む少女たちと共に、「灰羽」としての
生活を送るうちに、「しきたり」に縛られたこの世界に疑問を感じるようになる。
 
その想いに引きづられるように、「世界の秘密」へと迫る「ラッカ」。
それは、危険に満ちた「禁忌」へと至る道である。
彼女が、そこで垣間見た「真実」とは…?

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個人的にあまりに「好き過ぎて」どうもうまい紹介文が書けないのですが、
日本アニメには数少ないタイプの、この作品の独特な雰囲気だけでも
感じていただけたでしょうか?
 
この作品の原作は、キャラデザインも担当している安倍吉俊の「オールド
ホームの灰羽達」という同人誌です。
 
好きなんですよねぇーこの人の絵。
もちろんキャラクターの顔立ちとかも好きなのですが、それ以上に、あの枯れた
色使いや揺らぎのある線のかもし出す「世界観」がすばらしいのです。
うまく説明できないんだけど、作者自身の内にある「魂の暗さ」っていうかそういう
部分に共鳴するものを感じます。(一方的にだけど(笑))
 
アニメというのは集団作業であるため、こうした原作の「世界観」をそのまま再現
することは難しいのですが、この作品の場合、演出も美術も音楽もすばらしくて
その全てが、正しいベクトルに向かっているように感じました。
 
おそらく各スタッフが、本当の意味で安倍さんの「世界観」に共感して、全力を
結集した結果だと思うのですが、さらに大きな要素として安倍さん自身が
全ての脚本を担当している、という点が挙げられるでしょう。
 
いや、これ本当凄いことですよ!?
そもそも、1クール(12話)程度の作品であっても、通常は数人のライターが分担
するのが当たり前なのに、いくら原作者とはいえプロのライターでもない人間が
初めての脚本作業で全話を一人で書き下ろすのにどれくらいの体力と期間が
必要なのか、私には分かりません。(ちなみに「原作」の同人誌は一話分にも満たない
分量です)
 
物語は最初、灰羽になりたての少女ラッカの視点で、グリの街でのまったり
ライフから綴られていくのですが、仲間の灰羽の「巣立ち」をきっかけに生まれる
世界への「疑問」、それは彼女自身を「罪付き」へと追いやっていくことになります。
一転してのダークな展開は、決して不快なだけではなく魂を絞るような切なさに
満ちていて、それらはクライマックスに向けて「もう一人の(真の)主人公」の想いへ
と収束していきます。
 
…うわダメだ!全然まとまらない(笑)
 
本当は、「グリの街」と「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」に共通する
「閉じた世界」について語りたいけど、もうグチャグチャなのでいつかリベンジする
ことにして、今日は撤退します(TT)